常識的に考えて、手術では患者は麻酔で眠らされ、医師のオペを邪魔しないよう成すがままな状態でいるべきである。しかし、情熱の国ブラジルではそのような常識も通じないようだ。
33歳のAnthony Kulkamp Diasさんは、自身の脳腫瘍の手術中、ずっとギター片手に歌を歌っていたのである。
生まれて15日ばかりの息子がいる状態で、腫瘍を発見してしまったAnthonyさん。実はプロ歴20年のギタリストである。そこで、サンタカタリーナ州の南部にあるNossa Senhora de Conceição病院で手術することになった当日、自分のために尽力してくれている医療チームと家族のために、ビートルズの「イエスタデイ」ほか全6曲を歌い上げたようだ。
麻酔医も覚醒を維持したまま手術をするという、なんとも言えない挑戦を引き受け、最終的に一度歌ったブラジルのカントリーソングを、手術中にアンコールするなど、通常では考えられない大手術となったようだ。
過去にはバイオリニストのRoger Frischさんも以前に手術中にバイオリン演奏をした例もあり、
今後このような手術中の奇跡の演奏会が、見慣れた光景として続々現れるのかもしれない。