この夏から秋にかけ、兵庫県立美術館・上野の森美術館にて開催予定の「怖い絵」展が、宣伝ポスターが異様に怖いと話題となっている。
そのポスターがこちら。
怖い絵展のキャッチコピー、どシンプルだけどキツイわ pic.twitter.com/xwvlHXjWbG
— 一昨日の木林は顔面キーマカレー (@ototoi723) 2017年6月9日
目隠しをされた女性の横に「どうして。」のキャッチコピーのみ。何やら不吉な予感を見せつけるこの絵画だが、実はこの絵画には深い闇が存在している。
「怖い絵」展公式Twitterが解説しているので、そちらをご紹介したい。
【怖い絵展ミニ講座】《レディ・ジェーン・グレイの処刑》で描かれたジェーン・グレイはイングランド史上初の女王となるも、わずか9日間で玉座を去り、死刑となった悲劇の女性。
なぜ彼女は死刑になったのか?その数奇な運命とは…歴史を知るともっと怖くなるのが「怖い絵」展の魅力です。#怖い絵 pic.twitter.com/axdIvIBatR— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年5月24日
【怖い絵展ミニ講座】《レディ・ジェーン・グレイの処刑》を見ると、悲しみに打ちひしがれる侍女、打ち首台にしかれた藁、斧とナイフを持つ処刑人…と様々なものが描かれています。
それぞれに隠された怖さを想像しながら作品を鑑賞できるのも、「怖い絵」展のおもしろさです。#怖い絵 pic.twitter.com/IpuzlHPsTU— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年5月25日
【怖い絵展ミニ講座】実はこの《レディ・ジェーン・グレイの処刑》、1928年のテムズ川の大洪水で流失したと思われていました。しかし、その後の1973年の調査で奇跡的に発見され、瞬く間にロンドン・ナショナル・ギャラリーの代表作品となりました。#怖い絵 pic.twitter.com/xmVjese8U1
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年5月26日
この絵画に描かれた内容を知ったうえで「どうして。」のキャッチコピーを見直すと、怖さが倍増するはずだ。
ほかにも、「怖い絵」展には精神を蝕む多数の怖い絵が展示される予定だ。
【怖い絵展ミニ講座】19世紀末のロンドンで5人の娼婦が惨殺された切り裂きジャック事件。犯人の正体はいまだに不明ですが、有力容疑者の一人にシッカートというイギリスの画家がいます。「怖い絵」展にはそのシッカートが描いた、ずばり《切り裂きジャックの寝室》という絵が出品されます。#怖い絵 pic.twitter.com/zR6KYkrLVF
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月2日
【怖い絵展ミニ講座】切り裂きジャック=シッカート説を唱えたのはアメリカのミステリー作家、パトリシア・コーンウェル。真相は分かりませんが、シッカートは《切り裂きジャックの寝室》以外にも事件を連想させる作品を描いており、この連続猟奇殺人鬼に異様なほど関心を持っていたようです。#怖い絵 pic.twitter.com/2x64uKCiFI
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月5日
【怖い絵展ミニ講座】《切り裂きジャックの寝室》で描かれたのは、事件の18年後にシッカートが借りた現場近くの部屋。彼は女主人から「切り裂きジャックが住んでいた」と教えられたそうです。光が差し込む窓とドレッサーがぼんやり見え、本当に連続猟奇殺人鬼が潜んでいそうな不気味さです。#怖い絵 pic.twitter.com/qBYODV9Yd1
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月6日
【怖い絵展ミニ講座】ギリシャの詩人、ホメロスの長編叙事詩『オデュッセイア』に登場する魔女、キルケー。ウォーターハウスが描いたこちらの作品は、悠然と玉座に座り、杯を差し出す美しい女性として描かれています。さて、この絵の怖さとは?キルケーの後ろの鏡や、足元をよく見てみると…。#怖い絵 pic.twitter.com/JQ2TnAiKsp
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月7日
【怖い絵展ミニ講座】実はこのキルケー、気に入った男を歓迎すると見せかけ、杖を使った魔術で動物に変えてしまう恐ろしい魔女。その美貌と右手の杯は男たちを油断させるためのものでしょうか。そのキルケーの島に英雄、オデュッセウス一行がたどり着きます。オデュッセウスの運命やいかに!!#怖い絵 pic.twitter.com/QCnpfhd8WG
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月8日
【怖い絵展ミニ講座】キルケーの背後の鏡に映っている、戸惑ったような表情の男性。彼がオデュッセウスです。そしてキルケーの足元には、犠牲になったオデュッセウスの部下のなれの果てが横たわっています。彼女の恐ろしさを知っている人なら、思わず「逃げて!!」と叫びたくなりますね。#怖い絵 pic.twitter.com/dLSa4ASdxY
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月9日
【怖い絵展ミニ講座】キルケーの正体を知っていたオデュッセウスは魔術から逃れますが、彼女に心奪われ、しばらく島で過ごすことに。やがて島を去る彼にキルケーは「セイレーンには気をつけなさい」と忠告します。果たしてセイレーンとは? そのセイレーンの絵も「怖い絵」展にやってきます。#怖い絵 pic.twitter.com/4NAAWyggu5
— 「怖い絵」展 (@kowaie_ten) 2017年6月12日
「恐怖」をキーワードに西洋美術史に登場する様々な名画の場面を読み解き、隠されたストーリーを魅力的に伝える本としてベストセラーとなったドイツ文学者・中野京子氏の『怖い絵』シリーズ。
同書の第一巻が発行されてから10周年を記念して開催する本展は、シリーズで取り上げた作品を筆頭に「恐怖」を主題とする傑作を選び出しテーマごとに展示しているとのこと。
視覚的に直接「怖さ」が伝わるものから、歴史的背景やシチュエーションを知ることによってはじめて「怖さ」を感じるものまで、普段私たちが美術に求める「美」にも匹敵する「恐怖」の魅力を余すことなく紹介しているそうなので、夏にヒヤッとしたい人は観に行ってはいかがだろうか。
「怖い絵」展
7/22~9/18 兵庫県立美術館
10/7~12/7 上野の森美術館 で開催予定